2014年9月1日月曜日

フロントパネルの一例

プリアンプの場合、フロントパネルは顔とでも言うべきものです。ここでご紹介するのは、シルクスクリーン印刷によるものです。



HIMAC コントロールアンプ CA1001(¥445000)


スクリーン印刷の例(アルミアルマイトヘアーライン仕上げ、穴の位置を印刷し、加工を容易にしています。

デザインは自由です。アドビーイラストレーターやAUTOCADもOKです。
世界に一つだけのアンプに挑戦してみませんか。



2014年6月28日土曜日

私的プリアンプ論その4

【シンプルプリアンプ】
シンプルな高音質、高性能のプリアンプは、今日の真空管アンプの重要な位置を占めていると思います。シンプルなプリアンプにおいて、最も留意すべきは低ノイズであることです。音質追求のためには無帰還アンプが良いのですが、ノイズ対策に苦労することは明白です。その点本器は、部品配置、配線を工夫することで、低ノイズを実現しています。歪率については、あまり良い値ではありませんが、低歪率のアンプが必ずしも優れた音質とは限らないことも事実と思います。

12AU7フラットアンプー12AX7イコライザーアンプ
【諸特性】○フラットアンプ部:再生帯域20~30kHz±0dB、歪率0.4%(1kHz、出力1V)、ゲイン3.51倍(10.9dB)、最大出力12V、残留雑音0.07mV。○イコライザーアンプ部:再生帯域20~20kHz、RIAA特性誤差±1.5dB以内、歪率0.4%以内(1kHz、出力0.4V)、ゲイン95倍(39.5dB)、許容入力60mV以上、残集雑音0.4mV。【仕様】○サイズ:幅320×高さ80×奥行250㎜(突起物含まず)、重さ4.5㎏、消費電力約30W。○入力系統(100kΩ):PHONO、CD、TUNER、AUX、TAPE、○出力系統:プリアウト2(負荷50kΩ以上、REC1(負荷100kΩ以上)。シャーシ:リード、ライトグリーン色塗装、フロントパネル:アルミ白色粘着シート貼アクリルラッカー塗装。

 
ECC82フラットアンプ・ECC83イコライザーアンプ 

【諸特性】○フラットアンプ部:再生帯域20~30kHz±0dB、歪率0.4%(1kHz、出力1V)、ゲイン3倍(9.5dB)、最大出力12V以上、残留雑音0.07mV。○イコライザーアンプ部:再生帯域20~20kHz、RIAA特性誤差±1.2dB以内、歪率0.3%以内(1kHz、出力0.3V)、ゲイン110倍(41dB)、許容入力180mV以上、残集雑音0.4mV。【仕様】○サイズ:幅320×高さ80×奥行240㎜(突起物含まず)、重さ4.1㎏、消費電力約30W。○入力系統(250kΩ):PHONO1、CD1、TUNER1、TAPE1、○出力系統:プリアウト1(負荷50kΩ以上、REC1(負荷100kΩ以上)。シャーシ:タカチ電機、アルミ灰色塗装、フロントパネル白色塗装、表示は文字テープ。
内部配線にシールド線を使っていません。


2014年5月24日土曜日

私的プリアンプ論その3

【多機能プリアンプ】
1960~70年代の自作マニアが、自分専用のプリアンプを作ったら、きっと本器の様だったでしょう。当時のマニアは、市販品では満足できず、手間をかけ、試行錯誤を繰り返して音質を追求していました。トーンコントロール機能は、賛否両論ありますが、特に小型のスピーカーシステムの場合には、低域を補う上で必要不可欠でした。また、テープデッキへの対応も必須で、録音再生の機能は、レコードからカセットテープへの録音、FM放送のエアチェック等、当時の音楽ソースの中心でした。また、モノラル録音のソースへの対応として、ステレオ、モノラルのモード切替も良く使用しました。
8球式全段SRPP無帰還プリアンプ
【諸特性】○コントロールアンプ部:再生帯域20~30kHz±1dB、歪率0.1%(1kHz、出力0.5V)、ゲイン2.5倍(8dB)、最大出力8V、残留雑音0.09mV。トーンコントロール±15dB。○イコライザーアンプ部:再生帯域20~20kHz、RIAA特性誤差±1.5dB、歪率0.05%(1kHz、出力0.3V)、ゲイン160倍(44dB)、許容入力180mV、残集雑音1.5mV。【仕様】○サイズ:幅430×高さ180×奥行280㎜(突起物含まず)、重さ7.8㎏、消費電力約40W。○入力系統(100kΩ):フォノ1、CD1、TUNER1、TAPE1、○出力系統:プリアウト1(負荷5kΩ以上、入力トランス600Ω可)、REC1(負荷100kΩ以上)。シャーシ:アルミアルマイトフロントパネル、表示は文字テープ、無垢材ウッドケースウレタン塗装。
使用真空管、12AX7・・・1本、12AT7・・・2本、12AU7・・・4本。
ボリューム、トーンコントロール周りは、シールドのためアルミの板で囲ってあります。電源トランス、チョークコイル類はできるだけ離して設置すること、また、容量に余裕のあるトランスを使うことで、発熱やノイズの発生を抑えることができます。結果的にアンプ自体のサイズは大き目になりました。
入力、出力の信号系とAC100周りは極力離してある。ウッドケース下部にも穴が開いていて、下から上への空気の流れを作ってシャーシ内を冷却している。発熱の原因である真空管を空冷することは勿論、真空管以外の部品についても十分に空冷することによって、ノイズを抑え、長期間の安定した動作を図ることができる。
ノイズの少ないプリアンプが出来るかどうかどうかは、総合的な要因で決まりますが、部品のレイアウトと実装の技術、半田付けの良し悪しによって大いに左右される部分もあります。電源系ブロックと増幅系ブロックに分け、スペースを空けるようにし、グリッド入力は、他の配線と交差したり接近したりしないように配線の引き回をしています。本器は、信号経路にシールド線を使用していませんが、不用なノイズを拾うようなことはありません。蛇足ですが、出力トランスの取り付けが傾斜してしていること、またB電源、ヒーター電源、電源のアースが一束になって増幅部へいっていること等もご注目頂ければと思います。
8球式全段SRPP無帰還プリアンプ
プリアンプにおいても電源部は大変重要です。ヒーター電源には大容量のコンデンサーを投入し、B電源には、小電流にも関わらすチョークコイルを使用するなど、リップル除去には厳重に対処しています。

諸特性
左側イコライザーアンプ、右側コントロールアンプ部
本器は出力トランス付のため、トーンコントロールの低域、高域の上昇が15dB程度になっていますが、効果は十分です。。コントロールアンプ部において20Hz以下及び30kHz以上の帯域で程度に減衰していることが、音質上好ましい結果となりました。

2014年3月16日日曜日

私的プリアンプ論その2

【プリアンプの形態】
プリアンプの形態は、フロントパネル付の箱型シャーシが多いですが、パワーアンプのように真空管が露出しているのもまた味があります。遊び心は、真空管アンプの楽しみの一つ。真空管を魅せるために、シールドケースを省くと、トランスやオイルコンデンサーとの対比によって、真空管がより引き立ちます。

ECC83EQ-ECC82プリアンプ
【主な使用部品】○真空管:ECC82JJ社、ECC83SOVTEC社、6X4TEN社。○コンデンサー:出力部アメリカPYRAMID社、カップリングコンデンサー日通工社、トランスNOGUCHI、SEL社他。【諸特性】○フラットアンプ部:再生帯域20~20kHz±1.5dB以内、歪率0.5%以内(1kHz、出力0.5V)、ゲイン2.2倍(6.8dB)、最大出力8V以上、残留雑音0.1mV以下。○イコライザーアンプ部:再生帯域20~20kHz、RIAA特性誤差±1.5dB以内、歪率0.3%以内(1kHz、出力0.5V)、ゲイン92倍(39dB)、許容入力100mV以上、残集雑音0.6mV、【仕様】○サイズ:幅330×高さ135×奥行220㎜(突起物含まず)、重さ5.0㎏、消費電力約30W。

ゴールドの塗装がたいへん美しいアンプです。プリアンプでは、トランスと真空管を離すことがノイズ対策の基本。トランス類は定格に余裕のある方が、誘導ハム対策の上で有利です。


内部配線にシールド線は使っていません。内部配線を長いシールド線で引き回すと高域が減衰することがあります。音質の上でもシールド線を使わない方が有利です。


 【プリアンプの必要性
これまで多くのプリアンプ、パワーアンプを手がけてまいりましたが、レコードが音楽ソースの中心だった時代には、良いプリアンプ作った方がシステム全体としての音質向上が図れていたようです。レコード再生にはRIAA特性を持ったイコライザーアンプが必要不可欠ですが、特性に多少誤差があっても、実用上問題はなく、それほど気にせずに使用していました。また、レコードの録音状態に差があり、低域の豊かな録音だったり、高域が不足気味の録音もあったりで、それらを評価することも密かな楽しみでした。

私と友人E氏の会話(昭和50年頃)

E:SR(雑誌名)読んだか?プリアンプの製作記事が載ってたぞ。
私:SR買ったよ。ここにあるよ。(2人で雑誌に見入る。)
E:6球式のステレオプリアンプは、SRPPを使ってCRイコライザーにしている。他の雑誌にもSRPPのイコライザーアンプの記事が出ていたな。
私:この6球式のステレオプリアンプを参考にして作ろうと思っているとこだよ。
E:そうか。楽しみだな。でもな、CRイコライザーは、音は良いかもしれないけれど、ノイズを無くすことは絶対に無理だぞ。もし、CR型のイコライザーにCR型のトーンコントロールのプリアンプを考えているなら、悪いことは言わないからやめとけよ。
私:前にNFB型のイコライザーアンプを12AX7でやってみたけど、どうも気に入らない。ノイズも少ないし、特性もいいんだけど、何か物足りない。
E:マランツ型やマッキン型を参考にしたらどうなの。ほとんどノイズは出ないし、音もいいよ。
私:カソードフォロアーがついていることも、気になるんだ。

 このころ私は、マルチアンプシステムに凝っていて、チャンネルディバイダーやパワーアンプのドライブ段など、カソフォロを挿入していました。そして、性能を高めるはずの抵インピーダンス回路が音質の向上に繋がっていないことに気付き始めたようでした。

E:トーンコントロールはどうする気なの?
私:トーンコントロール回路は、今回は付けないつもり。もし付けたとしてもパスできるように、スイッチを入れておく。
E:名案だな。スピーカーが優秀ならトーンコントロールはほとんど使わないと思う。また、3ウエイのマルチアンプなら、低域、高域のコントロールはチャンネルディバイダーの操作でできるから必要ないよ。

滑稽な話でが、コスト面でマルチアンプシステムにするという事情がありました。マルチアンプシステムの方がコスト的に有利だったのです。ネットワーク方式の場合、大型の空芯コイルやオイルコンデンサーが音質を左右することになり、高価になります。また、高能率のコンプレッションドライバーやホーンツィータでは、ウーファとの能率を合わせるためには、これまた高価なアッテネータが必要になります。
マルチアンプシステムならば、低域よりもウーファよりミッドレンジやトゥイータの方が能率が低くても問題はなく、ユニットの選択肢が広いです。ちなみに音の良いミッドレンジは、10~20センチのフルレンジで、能率はウーファより劣りますが、コスト的にはコンプレッションドライバーよりも安価になります。
また、最大のメリットは製作後遊休のアンプ類を使うことができることで、低域にはプッシュプル、中高域にはシングルアンプを使うのが定石でした。、

今考えると笑い話にしかならない様な理由で、大真面目にマルチアンプシステムにしていました。音質上、最も影響の大きなミッドレンジには、アシダボックスやコーラルのフルレンジを使っていました。


2014年1月27日月曜日

私的プリアンプ論

 【はじめに】
時の移り変わりは早いもので、あっという間にアナログレコードから、CDになり、最近ではパソコンやiPodなどハードディスクに音楽信号を保存する時代になりました。ですからプリアンプが必要かどうかにまで、論点を突き詰めるのは、アナログマニアの甚だ強引な策略で、どのように自己正当化を試みても嘲笑に値すること必須です。今回私がプリアンプとして取り上げるのは、個人的な好みによるものです。ここで取り上げるプリアンプは真空管式で、アナログレコードの再生、ラジオチューナーの使用やテープデッキによる録音再生を前提としたものです。思い起こされる代表的なプリアンプは、マランツ#7、マッキントッシュC22、クォード22等の往年の名器や、ラックス、ウエスギ等です。
真空管アンプが半導体アンプと競合し合っていた60~70年代は、多くの自作マニアが往年の名器に挑戦し、成果を上げていた時代でもあります。古い製作記事を見ると、当時のマニアの並々ならぬ熱意や奮闘ぶりを知ることができます。また、彼らが往年の名器を凌駕する作品を製作し、真摯にオーディオを楽しんでいたことも伺い知ることができます。それらは、今取り上げてもその光を失っておらず、是非蘇らせ、音を聞いてみたいと思います。
部品について述べますと、最近はインターネットによる売買が盛んになり、かつては入手が困難だった部品でも入手できるようになりました。ウエスタンやテレフンケンの真空管、スプラグやコーネルダブラーのコンデンサー、UTC、トライアッド、タムラのトランス等、市場になかなか出回らなかったものが、入手できるのは嬉しいことで、機会があれば使ってみたいと思います。
往年の自作マニアは、素材を生かすも殺すも腕次第と孤軍奮闘していました。よって、良い部品を見分ける目も、自分自身で育んでいかなければなりませんでした。使用した部品に不具合があった場合には、原因の発見に手間がかかります。原因が分からないと、せっかく組み上げても、部品交換や調整を繰り返し、それでもうまくいかずに、最終的に解体に至ることしばしばありました。
真空管式プリアンプは、製作は多少難しいですが、音色は大変良いです。また、MT管、GT管、ST管、ナス管と様々な形態があり、見て楽しむ要素もあります。真空管アンプの楽しみ方の1つとして、プリアンプは大変魅力的です。その魅力の一端を紹介できれば幸いです。


プリアンプの例①
☆主な使用部品○真空管:12SN7イタリアFIVER社、12SC7カナダマルコニー社、12AX4アメリカRCA社。○コンデンサー:出力部アメリカシカゴ社、カップリングコンデンサーシズキ社他、トランス東栄社他。☆諸特性○イコライザーアンプ部:再生帯域20~20kHz、RIAA特性誤差±1.5dB以内、歪率0.5%以内(1kHz、出力0.5V)、ゲイン92倍(39dB)、許容入力100mV、残集雑音0.9mV、○フラットアンプ部:再生帯域20~20kHz±2dB以内、歪率0.5%以内(1kHz、出力0.5V)、ゲイン2.6倍(8dB)、最大出力10V以上、残留雑音0.15mV以下。☆仕様○サイズ:幅430×高さ180×奥行280㎜(突起物含まず)、重さ8.5㎏、消費電力約70W。○入力系統(100kΩ):フォノ1、CD1、TUNER1、TAPE1、○出力系統:プリアウト1(負荷10kΩ以上)、REC1(負荷100kΩ以上)。シャーシ:アルマイトフロントパネル、文字は打刻印、1.2㎜シャーシ、ケースは無垢木製ウレタン塗装。

GT管はサイズが大きい分、音質は太く、力強く、艶がありますが、良さを生かすためにはノイズ対策は欠かせません。出来るだけ増幅部と電源トランスを離すこと、大きく余裕のあるトランスで、発熱やノイズの発生を抑えること、フィルター回路を厳重にすること等、基本的なことを徹底することが良い結果につながります。狭いシャーシにつめこみよりも、ある程度ゆとりのあるシャーシの方が有利です。放熱効果を検討した部品配置や、放熱孔を空けて空気の循環を確保することが必要です。
配線は、性能に大きく影響します。信号部と高電圧部を出来るだけ接近させないようにしています。また、本器ではシールド線はフォノ入力以外使用していません。このGT管のプリアンプは音質が大変良く、完成度が高いです。

【必要な性能は】
☆フォノイコライザー:無帰還CR型誤差±2dBゲイン50~100倍、残留ノイズ1mV以下
音楽ソースがアナログレコードの場合にはフォノイコライザーアンプが必要になります。数ミリボルトのフォノカートリッジの出力を増幅しRIAA特性を再生するために、必要なゲインは数十倍から数百倍、低ノイズであること、RIAA誤差が少ないことが条件です。イコライザーアンプと言えばNFB型のマランツ#7、マッキントッシュC-22が有名ですが、音質にこだわれば無帰還CRの方が良く、マニアの多くはCR型のイコライザーアンプを使用していました。好みの問題もあるとは思いますが、CR型イコライザーの音質は何とも魅力的に感じます。しかしCR型の欠点は、SN比が良くないこと、ゲインの高いアンプが作りにくいこと、RIAAの誤差が多いことです。製作経験のある方ならお分かりと思いますが、CR型イコライザーでSN比を良くすることは至難の業で、真空管式では不可能と言ってよいと思います。
☆フラットアンプ:再生帯域20~20kHz±2dB、ゲイン2~3倍、残留ノイズ0.2mV以下
音質の劣化を少なくしてプリアンプからの出力をメインアンプまで届けるには、各種切り替えスイッチやボリュームの後に、フラットアンプを付けインピーダンスを低くするのも良い手です。パッシブ型のアッテネーターを使えば、ノイズの心配もなく、また音質の劣化もないはずですが、真空管式の場合にはフラットアンプを通した方が、良い結果が得られることが多いようです。
☆トーンコントロール:不要論もありますが・・・・・。
 音質的に優れているのはCR型ですが、真空管式の場合はインピーダンスが高いのでノイズを拾ってしまいます。また、トーンコントロール回路が音質劣化の原因になっていることもあり、トーンコントロール不要と考える方も多いと思います。増幅と減衰を組み合わせているので、音質は良くなるはずはないのですが、かえって聞きやすくなることもあるのは不思議なことです。個人的な見解ですが、小型のスピーカーシステムで小音量の場合にはトーンコントロールが必要なことがありますが、真空管アンプを使用するオーディオマニアであれば、相応に優秀なスピーカーシステムをお持ちの方と推察され、十分な低音、高音が出ているので、トーンコントロールは無くても良いと思います。

【部品の選択】
定評のある部品や新品の部品を使うことは、完成時の不安を少なくする意味で必要ですが、古い部品、多くは中古品ですが、魅力的なものが数多くあり、どうしても使ってみたい衝動に駆られます。古い部品の場合、抵抗であれば、テスターで値を計り、誤差が多ければ経年劣化が考えられます。カップリングのコンデンサーはオイルコンの場合、絶縁不良のものがあります。ソケットや端子類については、古いものは劣化して導通が不良になっている恐れがあるので、十分なチェックが必要です。真空管については、古い物でも新しい物でも、実装しみなければわからないことが多いです。私の場合、余分に購入して選別しており、また真空管販売店で色々な情報を得て購入時の参考にしています。
古い部品の場合、かつての秋葉原にあったジャンク店では、購入時に手に取って、五感を働かせて良いか悪いか見極めることができましたが、今日のインターネットでの購入は写真でしか分からないので不安です。以前、オークションで100本近くの真空管の山をジャンクとして購入した際、何とか使えるのが数本と言う経験をしました。ジャンクであれば、良品も含まれているはずと思ったのですが、選別してはじいたものをジャンク品として販売していたようです。購入する側もある程度のリスクは仕方がないことですが、現物を見ることができないというのはとても残念なことでした。
プリアンプの製作において、ノイズを少なくしてSN比を良くするために、部品の選択には大変気を使います。手に取って自分自身の目で確かめ、失敗を繰り返しながら、部品選択のノウハウを身に付けることが必要です。

【シャーシデザイン】
デザインはアンプ作りで最も気を使うところで、製作の醍醐味を味わえるところでもあります。気に入ったデザインが思い付いたときには、デッサンしておき、製作に取り入れます。また、優れたデザインの機器は、参考資料としてカタログや写真の収集も楽しいものです。デザインは自由度が大きく、好みに合わせて何でもできます。個人的な好みではありますが、古い通信機器、軍用無線機、古典ラジオ等の雰囲気のある佇まいは、何とも言えない癒しの効果があるように思います。また、斬新なデザインであっても、真空管という素材にマッチしていて、これまでにないような新しさを感じるのは面白いことです。


プリアンプの例②

無帰還プリアンプ☆5814&6201CREQ

☆使用真空管JAN5814A(シルバニア)2本、6201NATIONAL(シルバニア)2本☆諸特性○イコライザーアンプ部:残留ノイズ0.3mV、ゲイン45倍、RIAA特性誤差±1.5dB以内(30Hz~15kHz)、許容入力260mV(歪率5%)。○フラットアンプ部:定格出力3.5V(最大8V以上)、周波数特性30Hz~20kHz±1.5dB(出力0.5V)、高調波雑音歪率0.7%(出力0.5V1kHz)、残留ノイズ0.1mV。標準出力インピーダンス5kΩ~1MΩ(600Ω可)○仕様:サイズW430×D260×H49㎜(突起物含まず)、重量3.8㎏、消費電力約12W。
薄型の斬新なデザイン


 プリアンプにおいてのフォノイコライザー回路は、かつてはレコードマニアの興味をひいておりました。代表的なイコライザー回路はマランツ型、マッキン型、クォード型等が有名で、様々な音質の検討がなされてきました。ですから、イコライザーアンプだけを独立して使用することも、面白いと思います。

プリアンプの例③イコライザーアンプテレフンケン社ECC81(12AT7)使用

テレフンケンECC81無帰還フォノイコライザーアンプ
☆使用及び特性:入力47kΩ、許容入力250mV、最大出力15V(歪5%)、ゲイン36dB(60倍)、残留ノイズ1mV以下、出力特性RIAA偏差±1.5dB以内、歪率0.5%以下(1V出力)。【サイズ】WDH150×200×80㎜、重さ2.4㎏。消費電力約10W。
小型のシャーシに高密度で組んであります。厳重なフィルター回路と、入出力の配線の位置、部品の配置を工夫することでノイズを低減しています。