2014年5月24日土曜日

私的プリアンプ論その3

【多機能プリアンプ】
1960~70年代の自作マニアが、自分専用のプリアンプを作ったら、きっと本器の様だったでしょう。当時のマニアは、市販品では満足できず、手間をかけ、試行錯誤を繰り返して音質を追求していました。トーンコントロール機能は、賛否両論ありますが、特に小型のスピーカーシステムの場合には、低域を補う上で必要不可欠でした。また、テープデッキへの対応も必須で、録音再生の機能は、レコードからカセットテープへの録音、FM放送のエアチェック等、当時の音楽ソースの中心でした。また、モノラル録音のソースへの対応として、ステレオ、モノラルのモード切替も良く使用しました。
8球式全段SRPP無帰還プリアンプ
【諸特性】○コントロールアンプ部:再生帯域20~30kHz±1dB、歪率0.1%(1kHz、出力0.5V)、ゲイン2.5倍(8dB)、最大出力8V、残留雑音0.09mV。トーンコントロール±15dB。○イコライザーアンプ部:再生帯域20~20kHz、RIAA特性誤差±1.5dB、歪率0.05%(1kHz、出力0.3V)、ゲイン160倍(44dB)、許容入力180mV、残集雑音1.5mV。【仕様】○サイズ:幅430×高さ180×奥行280㎜(突起物含まず)、重さ7.8㎏、消費電力約40W。○入力系統(100kΩ):フォノ1、CD1、TUNER1、TAPE1、○出力系統:プリアウト1(負荷5kΩ以上、入力トランス600Ω可)、REC1(負荷100kΩ以上)。シャーシ:アルミアルマイトフロントパネル、表示は文字テープ、無垢材ウッドケースウレタン塗装。
使用真空管、12AX7・・・1本、12AT7・・・2本、12AU7・・・4本。
ボリューム、トーンコントロール周りは、シールドのためアルミの板で囲ってあります。電源トランス、チョークコイル類はできるだけ離して設置すること、また、容量に余裕のあるトランスを使うことで、発熱やノイズの発生を抑えることができます。結果的にアンプ自体のサイズは大き目になりました。
入力、出力の信号系とAC100周りは極力離してある。ウッドケース下部にも穴が開いていて、下から上への空気の流れを作ってシャーシ内を冷却している。発熱の原因である真空管を空冷することは勿論、真空管以外の部品についても十分に空冷することによって、ノイズを抑え、長期間の安定した動作を図ることができる。
ノイズの少ないプリアンプが出来るかどうかどうかは、総合的な要因で決まりますが、部品のレイアウトと実装の技術、半田付けの良し悪しによって大いに左右される部分もあります。電源系ブロックと増幅系ブロックに分け、スペースを空けるようにし、グリッド入力は、他の配線と交差したり接近したりしないように配線の引き回をしています。本器は、信号経路にシールド線を使用していませんが、不用なノイズを拾うようなことはありません。蛇足ですが、出力トランスの取り付けが傾斜してしていること、またB電源、ヒーター電源、電源のアースが一束になって増幅部へいっていること等もご注目頂ければと思います。
8球式全段SRPP無帰還プリアンプ
プリアンプにおいても電源部は大変重要です。ヒーター電源には大容量のコンデンサーを投入し、B電源には、小電流にも関わらすチョークコイルを使用するなど、リップル除去には厳重に対処しています。

諸特性
左側イコライザーアンプ、右側コントロールアンプ部
本器は出力トランス付のため、トーンコントロールの低域、高域の上昇が15dB程度になっていますが、効果は十分です。。コントロールアンプ部において20Hz以下及び30kHz以上の帯域で程度に減衰していることが、音質上好ましい結果となりました。

2014年3月16日日曜日

私的プリアンプ論その2

【プリアンプの形態】
プリアンプの形態は、フロントパネル付の箱型シャーシが多いですが、パワーアンプのように真空管が露出しているのもまた味があります。遊び心は、真空管アンプの楽しみの一つ。真空管を魅せるために、シールドケースを省くと、トランスやオイルコンデンサーとの対比によって、真空管がより引き立ちます。

ECC83EQ-ECC82プリアンプ
【主な使用部品】○真空管:ECC82JJ社、ECC83SOVTEC社、6X4TEN社。○コンデンサー:出力部アメリカPYRAMID社、カップリングコンデンサー日通工社、トランスNOGUCHI、SEL社他。【諸特性】○フラットアンプ部:再生帯域20~20kHz±1.5dB以内、歪率0.5%以内(1kHz、出力0.5V)、ゲイン2.2倍(6.8dB)、最大出力8V以上、残留雑音0.1mV以下。○イコライザーアンプ部:再生帯域20~20kHz、RIAA特性誤差±1.5dB以内、歪率0.3%以内(1kHz、出力0.5V)、ゲイン92倍(39dB)、許容入力100mV以上、残集雑音0.6mV、【仕様】○サイズ:幅330×高さ135×奥行220㎜(突起物含まず)、重さ5.0㎏、消費電力約30W。

ゴールドの塗装がたいへん美しいアンプです。プリアンプでは、トランスと真空管を離すことがノイズ対策の基本。トランス類は定格に余裕のある方が、誘導ハム対策の上で有利です。


内部配線にシールド線は使っていません。内部配線を長いシールド線で引き回すと高域が減衰することがあります。音質の上でもシールド線を使わない方が有利です。


 【プリアンプの必要性
これまで多くのプリアンプ、パワーアンプを手がけてまいりましたが、レコードが音楽ソースの中心だった時代には、良いプリアンプ作った方がシステム全体としての音質向上が図れていたようです。レコード再生にはRIAA特性を持ったイコライザーアンプが必要不可欠ですが、特性に多少誤差があっても、実用上問題はなく、それほど気にせずに使用していました。また、レコードの録音状態に差があり、低域の豊かな録音だったり、高域が不足気味の録音もあったりで、それらを評価することも密かな楽しみでした。

私と友人E氏の会話(昭和50年頃)

E:SR(雑誌名)読んだか?プリアンプの製作記事が載ってたぞ。
私:SR買ったよ。ここにあるよ。(2人で雑誌に見入る。)
E:6球式のステレオプリアンプは、SRPPを使ってCRイコライザーにしている。他の雑誌にもSRPPのイコライザーアンプの記事が出ていたな。
私:この6球式のステレオプリアンプを参考にして作ろうと思っているとこだよ。
E:そうか。楽しみだな。でもな、CRイコライザーは、音は良いかもしれないけれど、ノイズを無くすことは絶対に無理だぞ。もし、CR型のイコライザーにCR型のトーンコントロールのプリアンプを考えているなら、悪いことは言わないからやめとけよ。
私:前にNFB型のイコライザーアンプを12AX7でやってみたけど、どうも気に入らない。ノイズも少ないし、特性もいいんだけど、何か物足りない。
E:マランツ型やマッキン型を参考にしたらどうなの。ほとんどノイズは出ないし、音もいいよ。
私:カソードフォロアーがついていることも、気になるんだ。

 このころ私は、マルチアンプシステムに凝っていて、チャンネルディバイダーやパワーアンプのドライブ段など、カソフォロを挿入していました。そして、性能を高めるはずの抵インピーダンス回路が音質の向上に繋がっていないことに気付き始めたようでした。

E:トーンコントロールはどうする気なの?
私:トーンコントロール回路は、今回は付けないつもり。もし付けたとしてもパスできるように、スイッチを入れておく。
E:名案だな。スピーカーが優秀ならトーンコントロールはほとんど使わないと思う。また、3ウエイのマルチアンプなら、低域、高域のコントロールはチャンネルディバイダーの操作でできるから必要ないよ。

滑稽な話でが、コスト面でマルチアンプシステムにするという事情がありました。マルチアンプシステムの方がコスト的に有利だったのです。ネットワーク方式の場合、大型の空芯コイルやオイルコンデンサーが音質を左右することになり、高価になります。また、高能率のコンプレッションドライバーやホーンツィータでは、ウーファとの能率を合わせるためには、これまた高価なアッテネータが必要になります。
マルチアンプシステムならば、低域よりもウーファよりミッドレンジやトゥイータの方が能率が低くても問題はなく、ユニットの選択肢が広いです。ちなみに音の良いミッドレンジは、10~20センチのフルレンジで、能率はウーファより劣りますが、コスト的にはコンプレッションドライバーよりも安価になります。
また、最大のメリットは製作後遊休のアンプ類を使うことができることで、低域にはプッシュプル、中高域にはシングルアンプを使うのが定石でした。、

今考えると笑い話にしかならない様な理由で、大真面目にマルチアンプシステムにしていました。音質上、最も影響の大きなミッドレンジには、アシダボックスやコーラルのフルレンジを使っていました。


2014年1月27日月曜日

私的プリアンプ論

 【はじめに】
時の移り変わりは早いもので、あっという間にアナログレコードから、CDになり、最近ではパソコンやiPodなどハードディスクに音楽信号を保存する時代になりました。ですからプリアンプが必要かどうかにまで、論点を突き詰めるのは、アナログマニアの甚だ強引な策略で、どのように自己正当化を試みても嘲笑に値すること必須です。今回私がプリアンプとして取り上げるのは、個人的な好みによるものです。ここで取り上げるプリアンプは真空管式で、アナログレコードの再生、ラジオチューナーの使用やテープデッキによる録音再生を前提としたものです。思い起こされる代表的なプリアンプは、マランツ#7、マッキントッシュC22、クォード22等の往年の名器や、ラックス、ウエスギ等です。
真空管アンプが半導体アンプと競合し合っていた60~70年代は、多くの自作マニアが往年の名器に挑戦し、成果を上げていた時代でもあります。古い製作記事を見ると、当時のマニアの並々ならぬ熱意や奮闘ぶりを知ることができます。また、彼らが往年の名器を凌駕する作品を製作し、真摯にオーディオを楽しんでいたことも伺い知ることができます。それらは、今取り上げてもその光を失っておらず、是非蘇らせ、音を聞いてみたいと思います。
部品について述べますと、最近はインターネットによる売買が盛んになり、かつては入手が困難だった部品でも入手できるようになりました。ウエスタンやテレフンケンの真空管、スプラグやコーネルダブラーのコンデンサー、UTC、トライアッド、タムラのトランス等、市場になかなか出回らなかったものが、入手できるのは嬉しいことで、機会があれば使ってみたいと思います。
往年の自作マニアは、素材を生かすも殺すも腕次第と孤軍奮闘していました。よって、良い部品を見分ける目も、自分自身で育んでいかなければなりませんでした。使用した部品に不具合があった場合には、原因の発見に手間がかかります。原因が分からないと、せっかく組み上げても、部品交換や調整を繰り返し、それでもうまくいかずに、最終的に解体に至ることしばしばありました。
真空管式プリアンプは、製作は多少難しいですが、音色は大変良いです。また、MT管、GT管、ST管、ナス管と様々な形態があり、見て楽しむ要素もあります。真空管アンプの楽しみ方の1つとして、プリアンプは大変魅力的です。その魅力の一端を紹介できれば幸いです。


プリアンプの例①
☆主な使用部品○真空管:12SN7イタリアFIVER社、12SC7カナダマルコニー社、12AX4アメリカRCA社。○コンデンサー:出力部アメリカシカゴ社、カップリングコンデンサーシズキ社他、トランス東栄社他。☆諸特性○イコライザーアンプ部:再生帯域20~20kHz、RIAA特性誤差±1.5dB以内、歪率0.5%以内(1kHz、出力0.5V)、ゲイン92倍(39dB)、許容入力100mV、残集雑音0.9mV、○フラットアンプ部:再生帯域20~20kHz±2dB以内、歪率0.5%以内(1kHz、出力0.5V)、ゲイン2.6倍(8dB)、最大出力10V以上、残留雑音0.15mV以下。☆仕様○サイズ:幅430×高さ180×奥行280㎜(突起物含まず)、重さ8.5㎏、消費電力約70W。○入力系統(100kΩ):フォノ1、CD1、TUNER1、TAPE1、○出力系統:プリアウト1(負荷10kΩ以上)、REC1(負荷100kΩ以上)。シャーシ:アルマイトフロントパネル、文字は打刻印、1.2㎜シャーシ、ケースは無垢木製ウレタン塗装。

GT管はサイズが大きい分、音質は太く、力強く、艶がありますが、良さを生かすためにはノイズ対策は欠かせません。出来るだけ増幅部と電源トランスを離すこと、大きく余裕のあるトランスで、発熱やノイズの発生を抑えること、フィルター回路を厳重にすること等、基本的なことを徹底することが良い結果につながります。狭いシャーシにつめこみよりも、ある程度ゆとりのあるシャーシの方が有利です。放熱効果を検討した部品配置や、放熱孔を空けて空気の循環を確保することが必要です。
配線は、性能に大きく影響します。信号部と高電圧部を出来るだけ接近させないようにしています。また、本器ではシールド線はフォノ入力以外使用していません。このGT管のプリアンプは音質が大変良く、完成度が高いです。

【必要な性能は】
☆フォノイコライザー:無帰還CR型誤差±2dBゲイン50~100倍、残留ノイズ1mV以下
音楽ソースがアナログレコードの場合にはフォノイコライザーアンプが必要になります。数ミリボルトのフォノカートリッジの出力を増幅しRIAA特性を再生するために、必要なゲインは数十倍から数百倍、低ノイズであること、RIAA誤差が少ないことが条件です。イコライザーアンプと言えばNFB型のマランツ#7、マッキントッシュC-22が有名ですが、音質にこだわれば無帰還CRの方が良く、マニアの多くはCR型のイコライザーアンプを使用していました。好みの問題もあるとは思いますが、CR型イコライザーの音質は何とも魅力的に感じます。しかしCR型の欠点は、SN比が良くないこと、ゲインの高いアンプが作りにくいこと、RIAAの誤差が多いことです。製作経験のある方ならお分かりと思いますが、CR型イコライザーでSN比を良くすることは至難の業で、真空管式では不可能と言ってよいと思います。
☆フラットアンプ:再生帯域20~20kHz±2dB、ゲイン2~3倍、残留ノイズ0.2mV以下
音質の劣化を少なくしてプリアンプからの出力をメインアンプまで届けるには、各種切り替えスイッチやボリュームの後に、フラットアンプを付けインピーダンスを低くするのも良い手です。パッシブ型のアッテネーターを使えば、ノイズの心配もなく、また音質の劣化もないはずですが、真空管式の場合にはフラットアンプを通した方が、良い結果が得られることが多いようです。
☆トーンコントロール:不要論もありますが・・・・・。
 音質的に優れているのはCR型ですが、真空管式の場合はインピーダンスが高いのでノイズを拾ってしまいます。また、トーンコントロール回路が音質劣化の原因になっていることもあり、トーンコントロール不要と考える方も多いと思います。増幅と減衰を組み合わせているので、音質は良くなるはずはないのですが、かえって聞きやすくなることもあるのは不思議なことです。個人的な見解ですが、小型のスピーカーシステムで小音量の場合にはトーンコントロールが必要なことがありますが、真空管アンプを使用するオーディオマニアであれば、相応に優秀なスピーカーシステムをお持ちの方と推察され、十分な低音、高音が出ているので、トーンコントロールは無くても良いと思います。

【部品の選択】
定評のある部品や新品の部品を使うことは、完成時の不安を少なくする意味で必要ですが、古い部品、多くは中古品ですが、魅力的なものが数多くあり、どうしても使ってみたい衝動に駆られます。古い部品の場合、抵抗であれば、テスターで値を計り、誤差が多ければ経年劣化が考えられます。カップリングのコンデンサーはオイルコンの場合、絶縁不良のものがあります。ソケットや端子類については、古いものは劣化して導通が不良になっている恐れがあるので、十分なチェックが必要です。真空管については、古い物でも新しい物でも、実装しみなければわからないことが多いです。私の場合、余分に購入して選別しており、また真空管販売店で色々な情報を得て購入時の参考にしています。
古い部品の場合、かつての秋葉原にあったジャンク店では、購入時に手に取って、五感を働かせて良いか悪いか見極めることができましたが、今日のインターネットでの購入は写真でしか分からないので不安です。以前、オークションで100本近くの真空管の山をジャンクとして購入した際、何とか使えるのが数本と言う経験をしました。ジャンクであれば、良品も含まれているはずと思ったのですが、選別してはじいたものをジャンク品として販売していたようです。購入する側もある程度のリスクは仕方がないことですが、現物を見ることができないというのはとても残念なことでした。
プリアンプの製作において、ノイズを少なくしてSN比を良くするために、部品の選択には大変気を使います。手に取って自分自身の目で確かめ、失敗を繰り返しながら、部品選択のノウハウを身に付けることが必要です。

【シャーシデザイン】
デザインはアンプ作りで最も気を使うところで、製作の醍醐味を味わえるところでもあります。気に入ったデザインが思い付いたときには、デッサンしておき、製作に取り入れます。また、優れたデザインの機器は、参考資料としてカタログや写真の収集も楽しいものです。デザインは自由度が大きく、好みに合わせて何でもできます。個人的な好みではありますが、古い通信機器、軍用無線機、古典ラジオ等の雰囲気のある佇まいは、何とも言えない癒しの効果があるように思います。また、斬新なデザインであっても、真空管という素材にマッチしていて、これまでにないような新しさを感じるのは面白いことです。


プリアンプの例②

無帰還プリアンプ☆5814&6201CREQ

☆使用真空管JAN5814A(シルバニア)2本、6201NATIONAL(シルバニア)2本☆諸特性○イコライザーアンプ部:残留ノイズ0.3mV、ゲイン45倍、RIAA特性誤差±1.5dB以内(30Hz~15kHz)、許容入力260mV(歪率5%)。○フラットアンプ部:定格出力3.5V(最大8V以上)、周波数特性30Hz~20kHz±1.5dB(出力0.5V)、高調波雑音歪率0.7%(出力0.5V1kHz)、残留ノイズ0.1mV。標準出力インピーダンス5kΩ~1MΩ(600Ω可)○仕様:サイズW430×D260×H49㎜(突起物含まず)、重量3.8㎏、消費電力約12W。
薄型の斬新なデザイン


 プリアンプにおいてのフォノイコライザー回路は、かつてはレコードマニアの興味をひいておりました。代表的なイコライザー回路はマランツ型、マッキン型、クォード型等が有名で、様々な音質の検討がなされてきました。ですから、イコライザーアンプだけを独立して使用することも、面白いと思います。

プリアンプの例③イコライザーアンプテレフンケン社ECC81(12AT7)使用

テレフンケンECC81無帰還フォノイコライザーアンプ
☆使用及び特性:入力47kΩ、許容入力250mV、最大出力15V(歪5%)、ゲイン36dB(60倍)、残留ノイズ1mV以下、出力特性RIAA偏差±1.5dB以内、歪率0.5%以下(1V出力)。【サイズ】WDH150×200×80㎜、重さ2.4㎏。消費電力約10W。
小型のシャーシに高密度で組んであります。厳重なフィルター回路と、入出力の配線の位置、部品の配置を工夫することでノイズを低減しています。









2013年11月21日木曜日

6V6プッシュプルアンプ2台



6V6はアマチュアの我々にとっては、大変使いやすい球です。プッシュプルアンプではビーム管接続なら出力10Wがとれます。電源も、プレートに300V,電流80mA前後ですので、比較的小容量のトランスで済みます。また、バイアスが浅いので、電圧増幅段が1段で、負帰還をかけるための増幅度も十分なマージンが取れますので、特性の良いアンプができます(表1)。
Frank's electron Tube Data sheetsより転載

今更、」6V6は米国製ラジオや電蓄に多用され・・・・・・・・云々・・・・・・・。このような古い話をするのは、甚だ恐縮ですが、オールドマニアのたわごとをお許しください。
 戦後のわが国では、ラジオや電蓄の球と言えば6ZP1、42が主流でした。ですから、ラジオと言えば42の音だった当時、6V6を使った米国製ラジオの素晴らしさは国産を圧倒していて、何とか憧れの6V6を手に入れて音を聞いてみたいと思っていました。戦勝国アメリカと敗戦国日本の経済力工業力違いがお分かり頂けると思います。豊かになった今日では考えられないでしょうが、6V6は高級ラジオ、アンプの代表でした。
V6は6L6とともに発表されたメタル管が起源で、その後多種多様に発展しました。プレート損失の大きい6L6は主に業務用の大出力アンプに使われたのに対して、電力消費量の少ない6V6は、モニターアンプや、家庭用として普及していきました。UZ-42をUSPソケットにしたものが6F6ですが、その座を6V6に奪われてしまった形になったため、製造量は6V6の方が多かったようです。
 このような経緯から、6V6は軍用を含め、数多くのメーカーで製造されていましたので、現在でも入手が楽な球の一つです。個人的な好みかもしれませんが、初期のメタル管の黒く底光りのする姿などは、見るからに良い音がしそうに思えます。加えて、6V6は現在でもギターアンプ用に製造されている現役の真空管であり、そういう意味でもオーディオアンプとして、手元に1台は置いておきたいと言う思いに駆られます。
このように6V6は大変優等生的な性格の球ですが、強いて欠点を上げるとすればバラつきが多いことでしょう。プッシュプルアンプの場合、特性の揃ったペアチューブが必要ですが、かつてのように真空管が豊富にあった時代であれば容易に選別できましたが、とうの昔に製造が中止されている欧米や日本のメーカーの球では、なかなか電流値の揃った球がセレクトできません。ですから、製造年代の古い6V6を入手し実用機に用いる場合には、シングルが良いと思います。プッシュプルの場合にはセルフバイアスとし、バイアス抵抗を2つの球それぞれに設けたA級動作で、電流値のバラつきに対応すべきと考えます。
位相反転には抵抗分割型を採用しました。PK分割やカソード結合に比べて、歪や再生帯域、出力などの点で不利です。しかしながら、6V6が電蓄に多用されていた当時はこのような抵抗分割型の位相反転が主流でした。結果的には我田引水になりますが、良い音とは何かを考えさせられました。電蓄時代からのマニアの方の中には、カソードから音が出るのはどうにも受け入れ難いという方もいらっしゃると思いますが、今回の製作では大いに共感した次第です。
 出力段はウルトラリニア接続としましたが、これは使用した出力トランスにULタップがあり、遊ばせておくのが勿体無いと思ったからです。ビーム管接続であれば、出力の増大も見込まれたはずですが、前に3極管接続で製作した経緯があり、その結果が良かったので、3極管接続と5極管(ビーム管)の中間のウルトラリニア接続としました。これは、現代的な特性の優れた再生システムに適したアンプを考えたためです。
 次に6V6プッシュプルステレオアンプを2例紹介いたします。写真のようにA4サイズの小型版でありなから、音楽再生にお標準機として十分な性能を持った優れものです。さしずめライト級チャンピオンと言った風情です。製作者としても手放すのが惜しい、お気に入りのアンプとなりました。
6V6(3極管接続)プッシュプルアンプ
6V6GTRussia旧タイプ、5964東芝通則用。トランス:アウトAndix6608、電源POWER6314。シャーシ:天板アルミアクリルラッカー塗装、木枠ラワン無垢ウレタン塗装。仕様:出力5W+5W、残留ノイズ1.0mV、周波数特性20Hz~20kHz±0.5dB以内、消費電力約70W。サイズ:DWH206×303×118㎜、重さ5.4kg。
6V6(ウルトラリニア接続)プッシュプルアンプ
6V6GTオランダ、6414USA、5AR4RUSSIA。トランス:出力TOEI、電源TOEI。シャーシ:天板アルミゴールドアルマイト、木枠ラワン無垢ウレタン塗装。仕様:出力7W+7W(歪5%)、
残留ノイズ0.7mV、周波数特性40Hz~20kHz±1dB以内、消費電力約80W。サイズ:DWH200×300×130㎜、重さ6.8kg。

出力は4,6,8,16Ωに対応
ベテラン技術者による丁寧な配線です。

2013年9月21日土曜日

300Bシングルアンプ2台

今回、同様の回路で300Bシングルアンプを2台、続けて製作しました。直熱管である300Bは、シングルではノイズが出やすく、またバイアスが深いためドライバーを強力にする必要があり、使い難い面も持っています。しかしそこは300B、音質、容姿ともマニアを惹きつけて止まない魅力があります。これら2台のシングルアンプは高信頼管のRCA5693をドライバーとし、音質・性能とも満足いくレベルに仕上がりました。

使用真空管:PSVANE300B、RCA5693、RCA5V4G、トランス類:出力イーケイ、電源SEL、チョーク五燐
特性:出力6W+6W(歪率5%)、残留ノイズ1.2mV以下、周波数特性20Hz~20kHz±3dB以内
サイズ(WHD)350
×180×220㎝、重さ9.5㎏


使用真空管:PSVANE300B、RCA5693、旧ソ連5U4G、出力トランス東栄、電源は国産中古、チョーク東栄
特性:出力6W+6W(歪率5%)、残留ノイズ0.5mV以下、周波数特性20Hz~20kHz±4dB以内
サイズ(WHD)350
×180×220㎝、重さ9.3㎏、消費電力80W

300Bシングルアンプの変遷

【300Bの流通】
WE300Bがコンシューマー用に流通し始めたのは、それほど古い話ではありません。元々ウエスタンエレクトリックの機器は業務用で、保守点検は専門の技術者が行うため、真空管を含めたWEの部品類は一般には出回りませんでした。
40年程前、私がWEの真空管を見たのは、秋葉原の「輸入真空管太平洋」、「富士商会」といった販売店の店頭でした。当時の300Bは、保守用に生産されていたものがほんの少数、市場に流通していました。しかし、274A(B)や310A(B)に至っては、目にする機会はほとんどなく、現在の方がWE球は数多く流通しており、マニアの夢を叶えてくれていると言えます。
300Bを使ったシングルアンプの代表的な例は、91タイプと呼ばれるドライバー段が5極管の310A(B)1本よるものです。70~80年代当時は、310A(B)は入手が困難なため、運良くセトロンや岡谷の300BまたはSTC4300Bなどが入手できたとしても、多くの真空管アンプファンは、バイアスの深い300Bをドライブするため、2段増幅してゲインを稼ぎ、NFBをかけるといったやり方をしていました。当時の噂話は、300Bより310A(B)の方が数は少ないらしいと言うことや、274A(B)は、中古球しかなく、殆どが酷使されていて使い物にならないらしいと言ったことでした。これらの理由は、WEの真空管の流通が非常に少ないことが原因でした。私が目にした300Bは、軍用だったのかNASA用だったかのか、出所は不明とのことでした。また、WE球の供給の可能性は、300Bは安定化電源に使われているので少量生産されてはいるが、274A(B)や310A(B)、350A(B)に至っては用途がないので製造の予定はないとのことでした。
【交流点火・直流点火の問題】
アマチュアにとってもう一つの課題であったのが、ハムノイズ対策のためのフィラメント直流点火です。当時は、直流点火に必要な大電流のシリコンブリッジダイオードや、大容量のケミコン類が少なかったので、結果的に誤差の少ない直流5Vを得ることは難しかったようです。ですから当時の300Bシングルアンプは、交流点火でNFBをかけてハム音を減少させることが常套手段としてとられていました。有名なところでは、ジャン平賀氏によるパートリッジ社のトランスを使ったモノラルアンプがありましたが、300Bが交流点火で無帰還だったため残留ノイズは多かったです。また、球アンプの大御所、伊藤喜多男先生の300Bアンプも交流点火だったので、おそらく、残留ノイズは多かったでしょう。
300Bを交流点火で用いた場合、残留ハムノイズ軽減に腐心することは避けられません。ミリバル直読のハムノイズ値が3mV程度になれば、大変良い値です。一般的なシングルアンプなら十分なはずのπ型フィルターでも、300Bの場合は残留ノイズは5~10mVあるいはそれ以上になり、目(耳?)も当てられない状況になります。このことは、300Bにのめり込んだ真空管マニアの方なら、既に経験済みと拝察致します。
2A3、45などの直熱型3極管のハムノイズは、交流点火時のフィラメントハムよりも、B電源(プレートの高圧電源)のリップル除去不足の影響が大きいです。しかし300Bは、両方ともノイズの元になっているようです。これは300Bのフィラメントが5V1.2Aと省電力タイプのためと考えられ、もしもフィラメントが2Aなら交流点火でもハムノイズはもう少し低い値になると思われます。しかしながら、当時はフィラメント電力の省力化は使命であり、その点300Bは、50や2A3に比べて優れていたことは、表1の比較からもご理解いただけると思います。

表1 代表的な直熱管のフィラメント電力・プレート損失比較
(全日本真空管マニュアルより引用)
真空管名
F電圧V
F電流A
F電力W
最大プレート
損失W
最大出力W
300B
1.2
40
8 ※
50
7.5
1.25
9.4
25
4.6
2A3
2.5
2.5
6.25
15
3.5
45
2.5
1.5
3.75
10
2.0
         ※プレート損失21W時
 
 【整流管の問題】
 300Bの女房役である整流管274A(B)は、今日では入手が困難です。代替え品としては5U4、5R4があげられます。また昔話を持ち出して恐縮ですが、かつては,B電源にシリコンダイオード整流を用いた300Bアンプの製作例が、70~80年代には結構見られました。その頃は、整流管を用いるのは甚だ効率が悪く、時代遅れの風潮がありました。リレーによる遅延回路を用いて、出力管を保護することは良しとしても、古典管アンプとはいえ、整流管を使うのは何とも時代遅れという考えのマニアが大多数でした。
表2に代表的な整流管を上げました。整流管を選定する上で配慮が必要なことは、フィラメント電流と整流後のコンデンサーの値です。特に直熱型整流管のフィラメントは規格通りの電圧を供給することが肝要であり、球の寿命に影響します。しかし電源トランスは、損失を考慮に入れて少し高めの電圧が出るよう設計されているので、5V3Aの端子、フィラメント電流2Aの球を使えば、実測で5.2Vぐらいの電圧になります。高価な整流管を使う場合には、寿命の面を考慮すると不安が拭いきれず、精神衛生上良くありません。0.1Ω5Wのセメント抵抗で5Vに調整しますが、発熱量が多いのが難点です。
入力コンデンサーの値は、大きければ大きいほどリップル除去に資することができます。しかしコンデンサーの値を大きくすれば、初期チャージングのための大電流が流れます。結果、フィラメントがスパークし、コーティング材の白粉がパラパラとガラス管内に落ち、高価な整流管の寿命を著しく縮めると言った、心臓に良くない事態に遭遇します。整流管には入力側のコンデンサーの値に制限があります。表2からわかりますように、274A(B)は5R4に近い規格と思われますので、5U4と同等に扱うことはできず要注意です。私の経験では、5R4の場合、入力コンデンサー値22μFでスパークする球がありました。しかしながら、4μF程度にすると今度はリップルが十分に除去できず、ハムノイズが低減できませんでした。その点、多少無理の利く5U4や傍熱型の5V4については、50μF程度までは大きな問題が生じることはなく、正常に動作すると思います。実際、今回の300Bシングルアンプでは、5U4、5V4を使用しましたが、47μFの入力コンデンサー値で問題なく動作し、リップルは十分除去できました。

表2 整流管のフィラメント規格及び入力コンデンサー値
Frank’s electron Tube Data sheetsより引用)

真空管名
F電圧V
F電流A
入力コンデンサー
274A(B)
4μF以下
5U4
10μF以下
5R4
4μF以下
5V4
8μF以下

【310A(B)の代替え品】
 310A(B)は、300B以上に品薄であったことは、既に申し上げましたが、その代替え品としてトップグリッド球の6C6、6J7等が候補に挙げられてきました。これらは、ドライバー管としての特性及びST管の外観と言うことで似てはいるものの、これらを採用することは狗肉の策と言うべきでしょう。更に選択肢を広げれば、GT管の6SJ7,6SH7、MT管の6AU6等でもほぼ同等に扱うことができます。むしろトップグリッドの球は、長く伸ばしたグリッド回路がノイズを拾う可能性があり、決して有利とはいえません。結局、外観にこだわれば性能が悪くなり、性能を向上させるのには外観が納得できないと言ったジレンマに陥ることになります。
ドライバー管に何を選ぶかは個人の好みによります。外観と性能、作り易さを考えて選定すべきです。特に高級志向のモノラル構成で、310B-300B-274Bのラインアップと同等の形状の球でシャーシレイアウトをデザインすると、球の大きさがバラバラのために、アンバランスになってしまいます。外観にも拘るマニア諸兄にとっては、満足のいく出来映えにするのは難しいことと思います。レイアウト時に、電源トランスと出力トランスの形状を合わせるとか、トランスの高さと同じオイルコンやケミコンを使うとか、高さを揃える工夫が要ります。 
300Bでアンプを組む場合には、このようにいくつかの制約があり、それらと上手に付き合い、あちらを立てればこちらが立たずの条件のバランスを取りながら、自分だけの気に入ったアンプを組み上げることは、マニアの真骨頂です。これからも300Bは、真空管アンプマニアのアイドルとして、その存在価値が変わることはないと思います。

2013年7月14日日曜日

欧米真空管の流通

真空管が電子産業の主役を譲り、70年代には半導体がオーディオ界を駆逐した当時、多くのオーディオマニアは性能を重視する傾向にあり、真空管には、もはや戻れないような風潮もありました。一部の真空管ファンは、「石のアンプは音が固い。」「歪っぽくて、音楽を聴く気がしない。」などと感じていましたが、ほんの少数派でした。真空管ファンの強い味方はラックス社で、数多くのキットを販売し、トランスを始めソケット、ロータリスイッチ等の部品も販売していて、いつかはラックスのキットを買おうと思っていました。また真空管ファンは、MJ誌、初歩のラジオ誌の真空管アンプの製作記事を読み、巻末の広告のページにある中古真空管やトランス、コンデンサーのジャンク物の販売リストをチェックするのが常でした。中でもサンセイエンタープライズ社(ジャン・平賀氏)は、欧州球の品揃えが豊富で、STC4300Bの大と小、旧ソ連EC33C等、販売していました。当時の自作マニアは、主に国産球か米軍球で製作しており、欧州球や300B、50、45等はなかなか入手できず、巻末の販売リストにある貴重な真空管の数々を見て、夢を振らませていました。特に欧州球については製作記事が少なく、球の規格が分からないので、その良さを知るマニアは少数でした。

主な欧州球メーカー
OSRAM GEC MARCONI MAZDA MULLARD  PHILIPSSIEMENS STC TELEFUNKEN  VISSEAUX 

STC社12E1シングルウルトラリニアアンプ
出力6.5W+6.5W(歪率5%)、残留ノイズ0.6mV、周波数特性20Hz~20kHz±1dB以内。サイズ(WHD)400×180×200㎜、重さ10.2㎏、消費電力90W。
STC社(Standard Telephones and Cables Ltd.)CV345(12E1)シングルウルトラリニア接続。12E1はイギリスの船舶用の球で、プレート損失35W、ヒーター電力6.3V、1.6Aの大型管です。造りが大変良くヨーロッパの香りのする美しい球で、見るからに良い音が出そうです。

出力トランスに音の良さで知られるタンゴUー808を使用、シャーシは艶消シルバーのアクリル塗装、トランス類も同じ艶消しシルバーに再塗装。

カップリングにはドイツERO社のフイルムコンデンサーを採用。結束バンドで束ねるのは、メンテナンスのし易さと配線同士が不要に絡まったりしないようにするためでです。
配線には太めのコードを使用しています。特に真空管のフィラメント配線は電流が多いので太いです。グリッド周りと電圧の高いB電源回りは極力離しています。はんだ付けはCR類を加熱して、半田を流し込むように行います。真空管のソケットやラグ端子は予備はんだ処理をして確実に付けます。仕上がりは、はんだの量、表面の艶を目視確認します。細かい部分は虫眼鏡で拡大して見るようにします。そして、ちょっとでも不安を感じたら、必ずやり直します。熱に弱いパーツは放熱用のクリップを付けて熱を逃がします。正しい半田付けは、良いアンプを作る上で最も重要なことと思います。こういった地道な作業を続けることで、結果的に音の良いアンプになることが多いです。

2013年6月18日火曜日

アンプの特性と音質

アンプの特性を測定しても、音質の良し悪しは分かりませんが、基本的な性能のチェックはしています。測定器は、回路の実験には、なくてはならないものですので、オシロ、ミリバル、発振器、歪率計(2台)、周波数カウンター、矩形波発振器、デジタル電圧計など常備しています。
工房の測定器群、旧型ですが現役です


12G-B7プッシュプルステレオアンプ

この水平偏向出力管12G-B7プッシュプルは音質評価の標準機となっています。特徴は位相反転に抵抗分割型を採用したことで、PK分割型やカソード結合型に比べて、歪や再生帯域、出力などの点で不利になっているにもかかわらず、音質の良さは群を抜いています。製作者としてもあらためて良い音とは何かを考えさせられています。古い話ですが、電蓄時代からのマニアには、カソードから音が出るのはどうにも受け入れがたいという方もいたようです。(本器は常設の標準機)

水平偏向出力管12G-B7は、真空管テレビの全盛期に多用されましたが、今日では用途が限定されているためか、ダンパ管12G-K17等とともに安価に入手できます。そこで、日本の真空管技術の絶頂期のこれらのタマを生かしたアンプを製作しました。東芝真空管ハンドブックに、水平偏向出力管の音声出力管への応用についての一項があります。回路例は、標準5結、固定バイアス、高負帰還の大出力アンプが中心で、高性能化と高能率化を金科玉条に掲げた当時の世相を色濃く反映しています。しかし今日ではこのような使い方をすると、マニアに拒絶されることは間違いありません。現代の真空管オーディオにおいては、タマを大切に使うこと、負帰還技術に頼らないことは必須条件です。

表1 音声出力管と水平偏向出力管の最大定格の比較

12G-B7プッシュプル内部配線

テレビの垂直偏向出力管6BX7プッシュプルアンプです。双3極管を用いると配線が簡潔にまとまります。位相反転は古典的な抵抗分割型で、音質重視です。6BX7というとオーディオ界の大御所、故I先生の製作記事を思い出される方もいらっしゃることでしょう。出力トランスはカナダハモンド社製で、レンジは広くありません。≪特性≫出力4W+4W、残留ノイズ0.6mV、周波数特性20Hz~20kHz±4dB以内、サイズ:DWH200×300×130㎜、重さ5.3kg
6BX7単管プッシュプルアンプ
ハモンド社125E出力トランスは、プッシュプル用で、カタログではシングル可となっていますが、シングルで使用すると低域が出にくいようです。本器は低ノイズ、高音質で大変良くできたアンプです。